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溶融亜鉛めっき
加工する場合の注意点
溶融亜鉛めっき加工する場合の注意点
溶融亜鉛めっきでは、その構造物の材料、表面状態、形状などによってめっき加工できないものや外観を損なうもの、大きな歪みが発生してしまうもの等があります。
下記の場合、溶融亜鉛めっき加工を良好に行うにあたっては、事前に対策が必要となる場合がございます。
分類 | 状態 | めっき前の対策 |
---|---|---|
表面 | 鉄自体ひどい腐食のあるもの | ブラスト処理で除去出来るなら可能 |
レーザー切断の切断面 | グラインダで面取りが有効 | |
構造 | 極端な板厚差の組み合わせ | 歪み防止のため板厚差2.5倍以下へ |
空気を密閉した中空体のもの | 孔あけが有効 | |
亜鉛が流出入できない または、空気が抜けないもの | 加工上の注意点の図を参照 |
株式会社富士金属の社員は数名、めっき技能士(国家資格)を取得しておりますので気になる点はお気軽にご相談ください。
めっき可能サイズ
単位:mm
長さ(L) | 横幅(W) | 深さ(D) | |
---|---|---|---|
めっき槽 | 12,500 | 1,550 | 2,100 |
めっき可能 寸法 | 12,300 | 1,450 | 1,800 |
※めっき可能サイズを超える場合でも、二度漬け方法にてめっき可能な場合がございますので、お気軽にお問い合わせください。
溶融亜鉛めっきを施す場合の加工上の注意点
密閉構造単材の場合
丸パイプ、角パイプともに中心に孔があっても、PL、フランジがカエリとなって空気溜り、亜鉛溜りがそれぞれ生じます。
パイプの管端に下図のような孔が必要になります。
角パイプ、コラム柱などの孔あけ
角パイプ柱等でダイヤフラム部に補強板がいくつも連なっている場合、すべての板の四隅に孔あけが必要です。
孔あけ参考図
ベースPL,トップPL,ダイヤフラムのPL合わせて3枚以内は表面積の10%以上、PL板4枚以上は表面積の20%以上の孔あけが必要です。
丸パイプ柱の孔あけ
基本的に角パイプ柱と似ていますが、ボトル孔を吊ってめっきすることが多いので亜鉛抜き、空気抜き穴が上下になるように合わせる必要があります。
形鋼加工品の孔あけ
形鋼加工品は補強材(リブ、ガゼットPL)の組み合わせにより部分的に袋状になったり、箱状になる場合が出てきます。そのままの状態でめっきすると、空気が溜まり不めっきとなる部分と亜鉛が溜まる部分が出来、無理に取り除いたりする為外観も悪くなります。このような問題を無くすためにコーナー部にスカラップ(孔)をあける必要があります。
手摺、枠等の孔あけ
丸パイプ、角パイプを使用する密閉構造の品物はすべてにおいて貫通していることが必要になります。1ヶ所でも閉ざされたところがあると空気、水分の膨張により爆発の危険がありめっき不可能です。
また空気抜き、亜鉛抜き孔以外の内面をすべてオープンにしたほうが美観が良くなります。
ベリースリブのスカラップ
孔あけのない補強材のリブだとめっき時に下部は空気が溜まり上部は亜鉛が溜まります。
錆汁のしみ出し
重ね板部分1mm以下のスキ間には表面張力の関係で前処理の水分は浸入するが溶けた亜鉛は入れない。従ってフラックス液や冷却水が染み出すことがあります。腐食にはあまり心配はありません。400㎠未満の場合は全周溶接で防止できます。
重ね板の場合
表面積が大きい材料同士を重ねた状態で全周溶接した場合、めっき時に内部の空気やピンホールから浸入した水分の体積が膨張して亀裂やふくれが発生し、はなはだしい場合には爆発する危険があります。人身事故に繋がる可能性もありますので、表面積約400㎠以上の重ね板の全周溶接は隙間を空けるようタップ溶接にするか重ね板に孔をあける必要があります。
溶接スラグの除去
溶接スラグが残っているとその部分は、鉄と亜鉛の合金反応を妨げますので不めっきの原因となります。
ひずみの防止
肉厚、形状の異なる素材を溶接した場合、熱による伸びの違いでひずみ、ふくれ、溶接はずれ等の製品事故が発生する恐れがあります。出来るだけ避けるようにしてください。
薄板、CPL、PL等もめっきバスへの浸漬時ひずみを極力抑えるために吊り孔が必要になります。
溝蓋等はCPLと枠は別々にめっきするかビス止めすれば全く歪みません。溶接固定すればCPLが上下に波うちます。